ア行 | アールデン (ヤン・アールデン) オランダ 〜1958年 |
オランダの現在の活躍鳩のほとんどの系源がアールデンといわれるほど圧倒的な影響を及ぼしている系統。 基礎鳩は大きく二つのラインに分かれる。一つはA.スカウトレンのモーゼとサール。第2次世界大戦中、オランダはドイツに占領され、鳩もドイツ軍に没収されていた。スカウトレンはある夜、ドイツ軍のロフトに忍び込み2羽の鳩を盗んだが、これがモーゼとサールとされる。したがって、これ以上系統をたどることはできない。このカップルから作られた直子がアールデンの源鳩になった。 基礎鳩のもう一つは、デルバールの代表鳩で、サンバンサンN2回優勝のプティ・エカイエを祖父に持つド・オードシュタム・ムーダーファン45号から派生したライン。 アールデンはこの二つのラインを中核にして生まれた38号(ダックスN6位)と49号(サンバンサンN総合7位)を近親交配することで、アールデン系を完成させた。 彼はオランダ南西部のステーンベルゲンという村でホテルを経営するかたわらレースを楽しむ富豪だったが、1958年に死去、名声が高まったのはそののちだった。 |
インブラヒット (ジャーマン・ インブラヒット) ベルギー 1935年〜 |
インブラヒットの名を有名にしたのは、74年のバルセロナN3位のアングレームだ。彼の住む地にちなんで、この鳩は「ボーニバルの怪物」と呼ばれた。その後も、BDS&CB最優秀鳩舎賞1位、アルジェントンSN優勝などの成績を上げている。代表鳩にフー、ヴィックス・ルージュ、エスポアールなど。 | |
オペル (ジョン・ルイス・ オペル) アメリカ 1889〜1961年 |
オペル作出の鳩は500〜700マイルまでの長距離で抜群の成績を上げている。その源はローガン系。中でも最高の基礎鳩は、親友ジョンストンが作ったオールド・スレートで、4分の3以上がローガン系。 岩田孝七氏が53年に5羽のオペルを導入し、日本鳩界にこの系統の名を広めた。そのときの一羽619号は岩田輸入系の基礎鳩として有名。 |
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カ行 | カトリス兄弟 ベルギー オスカー・カトリス 1890〜1966年 ジェラール・カトリス 1892〜1969年 |
ファンブリアーナ、デルバールと並んでベルギーの三大競翔家と称される。ベルギー西端の西フラマン州ムーレで当初はローカルの短中距離を中心にレースを行っていた。戦後になって長距離にまで守備範囲を伸ばし、ペテとメテのゴールデンカップルから生まれたド・45は47年のボルドーNで2位を1時間以上ぶっちぎって優勝するなど4年間で20回の優入賞を記録、29万ベルギーフランを獲得した。また45号のいとこの87号は36回の優入賞で賞金34万ベルギーフランを手にし、45号と並んでカトリス系の双璧とうたわれる。さらに45号の孫ドライヤーは63年ローヤンN優勝を果たしている。 兄オスカーが66年に、弟ジェラールが69年に死去すると、オスカーの娘婿ブーゼリンクが鳩舎を引き継ぎ、71年にベルギー長距離ナショナルCH賞で2位に入賞している。 カトリス系は血統浸透の広さで知られ、フレーカー、ファンネ、ボスチン、ノルマンなどがこの系統を導入して成功している。カーレンスはカトリス系で73年にバルセロナIN優勝を果たした(モナリザ)。 |
クラック・ヤンセン (ヨス・ファンリンプト・クラック) オランダ |
ヨス・ファンリンプトは、ベルギー国境沿いの小さな町ルーセルに住み、ヤンセン系だけで自分の系統を編み上げた。クラックは愛称。父がアドリアーン・ヤンセンと職場の同僚だったことから、ヤンセン一家の知己を得た。第2次大戦による中断を経て、44年に鳩レースを再開、40年生まれのヤンセンバードを導入。さらにオールド・ヤンセンを手に入れ、ビヒターチェ、マリーチェ、ヨング・カップルといった名ブリーダーを生む。 クラック系からは、ファン・ワンロイのバルセロナN優勝、スケルケンスのサンバンサンN優勝、ジョベルス兄弟のオルレアンN優勝、シャトローN優勝などが生まれている。 ブルグマン兄弟はクラックの甥。 |
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グロンドラース (ヤン・ グロンドラース) ベルギー |
短中距離における徹底した飛ばし屋。ベルギーの最北部、オランダ国境に近いアントワープ州オペラグラーベクに住む。リモージュN優勝、アルジェントンN優勝、クレルモンフェランSN優勝のほか、鳩舎の総合的な力が要求されるゼネラル・チャンピオンシップの常連でもある。 グロンドラース系は五つのラインからなる。 (1)ケレン系を源とするグーデ・ウィットファールのライン。 (2)グスト・ホフケンスのエエンオーガー(30回優勝)のライン。 (3)純ヤンセン系のシャトローのライン (4)コブーのズワルト・コブー、モントバーンのライン (5)ファンネのオード・レミー、ブリクセンの孫娘のカップル、及びズワルト・ファンネ(アトミックの孫)のライン。 |
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ゴードン (モーリス・ゴードン) アメリカ 1897〜1972年 |
「500マイル(約800K)を当日に帰る」ことを目標に、近親交配により長距離スピード系を確立した。24年に鳩を開始すると、著名なジャーナリスト、オスマンから鳩を導入、これらがゴードン系の基礎となった。ゴードン自身作出の基礎種鳩として、多数の活躍鳩を輩出したボストン855、直子に600マイル(約960K)16羽を生んだ85号がある。 | |
コブー (レイモンド・コブー) ベルギー |
ワロン地区アンデルールに住む、長距離、超長距離の雌鳩部門のスペシャリスト。基礎鳩はブリクーが4分の3混じったデュレイ、それにコミンヌ、カトリスといった長距離ラインによって自身の血統を固めていった。 得意の雌鳩部門でリモージュN優勝、カオールN優勝、シャートールーN優勝、ルールドN優勝、モントーバンN優勝など。またバルセロナINで61年から84年までの23年間で投入した鳩930羽のうち527羽が入賞し、高い安定性を証明した。 |
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ゴメール (ゴメール・ フェルブルゲン) ベルギー 1923〜 |
中距離で数々の実績を残すレースマン。おもに3羽の基礎鳩がこれらの栄光をもたらした。 (1)ファンデベルデのド・アス。17回優勝、74年KBDBナショナル・エースピジョン1位の俊鳩。 (2)モイレマンのウィットノイス。 (3)ド・チェルダーチェ。一連のトップレーサー、トップブリーダーの父となり、祖父となったが、87年に鳩泥棒によって盗まれた。 ゴメールの代表鳩としては、その時代の世界最高の中距離鳩ともいわれるクレスコップがある。プロビンシャル4回優勝、86年シャトローSN優勝を果たした。また97年にはファンタストがブールジュSN優勝を遂げている。 |